2011年05月10日

訓練日誌 23日目


皆さん、こんにちは。
本日は5月10日、3年前、無事にアイメイト協会を卒業した日であり、私とトリトンがわが家に一緒に帰ってきた日でもあります。
あれから、もう3年が経つなんて、時の流れが少し早過ぎますが、何かの間違いじゃないでしょうか。
色々なところに出かけたり、たくさんの道を二人で覚えて颯爽と歩き、様々な人とも出会い、たまには体調を崩したり、とにかく今日までお互い楽しく過ごしてきました。
今回の日記は、2008年5月4日、日曜日のものです。
この日、訓練はおやすみ、でも、私達訓練生にとっては思い出に残る大きな出来事がありました。
“盲導犬の父”塩屋賢一会長が奥様と一緒に協会にお越しになり、昼食前の一時、われわれ訓練生を励ましにきてくださったのです。
アイメイト協会での歩行指導では毎回恒例の行事になっており、私も先生に直接お目にかかるのをずっと前から楽しみにしていました。
お二人とも気取らず、とても穏和な方で、周囲の空気が一気に温まり、それに伴い私の体内さえも温かさで満たされていくのを感じていました。
戦後間もない頃、大枚をはたいて手に入れたシェパードのアスターとの生活を懐かしそうに語る先生の声は優しく、心から犬を愛し、尊敬に値する仲間として永きにわたり接してこられた様子がひしひしとこちらにまで伝わってきました。
あっという間の短い時間でしたが、私にとっては、形に残らない大切な財産として今も心の引き出しにきちんと収められています。
そうそう、お茶会も終わりに近い頃、先生が私に向かって一言声をかけて下さいました。
「君は、どうしてそういう頭にしているんだい?」
今もそうですが、私の髪型は、ここ15年ほどスキンヘッドにしています。
先生にお会いするために前夜髪の毛も綺麗に剃り上げていたので、かなりツルツルになっていました。
でも、先生にそのような質問をされることなど端から考えていませんでしたから、思わず私の口から出た言葉といったら答えにもなんにもなっていません。
先生の問いかけに対して、
「はい、申し訳ありません」
これだけでした。なんと愚かな私でしょう。
しかし、これも今では懐かしい思い出、その塩屋先生は、偉大な功績を残し、昨年9月にご逝去されてしまいました。
けれど、アイメイトに対する先生の強い思いは、連綿と続く自然の理の如く途絶えることはなく、現在、そして、遥かなる未来に向けて協会スタッフの皆さん、そして、使用者の私達によって永遠に受け継がれていくことでしょう。
前置きが長くなりました。
それでは、当日の日記をどうぞ。
【5月4日(日) 晴れ
朝から天気は良さそうで、小鳥達の囀りが耳に心地よい。
今日は歩行練習は休み、担当の指導員もお休みということで、われわれの面倒をみてくれるのがRYという男性指導員である。
このRYさん、アイメイト使用者のブログで何度も登場してきているので、面識はなかったものの、ある程度の認識は持ち合わせていた。
就職して9年、関西弁丸出しのユニークでとても優しそうな男性だ。
先週のSHさん、昨日のKAさんに続いて担当指導員のSさんとはまた別の違った指摘をしてくれることを願っている。
全国に100人に満たない職業、しかも、世界でもトップクラスの水準と自分では解釈しているこの協会の指導員から受ける様々なアドバイスは、大変貴重なものと言える。
本日予定されている大イベント、11時前後に会長の塩屋賢一先生が“お茶会”と銘打って協会に訪問されるとのことだ。
何冊もの書籍から盲導犬の先駆者としての努力、苦労、それに優る熱意をひしひしと感じていた方だけに、自分にとっては、ほとんど雲の上の存在と言えよう。
その前にワンツーとブラッシングがあり、午後は、面会時間となる。
夕方の4時からは、いつもと同様のスケジュールに沿った行動となる。ただし、ミーティングは休みとなる。
居室に掃除機をかけ、トイレ掃除もした。
おまけにハウスのタオルも新しいものに交換してもらったので、5月の気候に負けないくらい爽やかな環境だ。
11時前に塩屋会長夫妻が協会を訪ねられた。
クラス全員は予め食堂に集合し所定の席で待つことに。テーブル上にはケーキとコーヒーのいい香り。
12時過ぎまでの1時間と短い時間ではあったが、中身の非常に濃い有意義な時間を過ごすことができた。
口数は少ないものの、その一言一言に重みを感じ、犬に対する愛情の深さがひしひしとこちらに伝わり、しばし感銘を受け続ける温かな一時が流れた。
奥様も気取らず実に穏和な方で、この会長にこの奥さんといった見ていて実に微笑ましい光景であった。
いままでに数えきれぬほどたくさんの労苦があっただろうことは書籍などを通じてある程度承知していたが、そのかけらも見せることなく、われわれに対しても非常に優しく接してくださった。
しつこいようだが、あらためてこの協会で学べる幸せを実感し、同時に自らに誇りを抱くことができたように思う。
会長夫妻が帰られた後は、すぐに昼食の時間となった。
その席で、本日の世話係のRYさんの犬に対する訓練や、指導を受けるわれわれの心構えなどについての話しも納得の連続で聞かせてもらった。
1時にワンツーに出し、トリトンも“ワン”“ツー”の両方をしてスッキリ、現在は面会に訪れる人間をおとなしく待っているところだ。
今回の面会は、次男のNが自らの彼女とM子を車に乗せてやって来る。
M子は先週、先々週と2回トリトンに会っているが、次男のNも彼女も初めての対面となる。
誰にでも愛想を振りまくトリトン、きっと二人も彼を気に入ってくれることだろう。
面会後、トリトンの食事、ワンツー、入浴と、いつもの流れでスケジュールをこなしていったが、一つ事件が勃発した。
トリトンのワンツーの際、彼が産み出したばかりのホカホカのツーを思いっきり足で踏んでしまった。
今までにそのようなことはなかったが、今回、トリトンのツーの合図が判断できず、歩きながらのツーを見逃してしまった。
朝から2回、特に1回目のツーの量が多かったので、3回目はやらないだろうという勝手な俺の読みが甘過ぎた。
本日の世話係のRYさんに靴の裏を洗ってもらい事なきを得たが、余計な仕事をさせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱい、ひたすら反省の時を過ごした。
今回の教訓を活かし、今後、そのような失敗を少なくしていかなければと思っている。
靴に“ツー”が付いたのだから、宝くじにでも当選するかもと密かに楽しみでもある。
と言うことで、夕食を摂り、この日最後のワンツーに出せば今日も無事に終わる。
明日から2日間は土曜日に引き続き電車乗降の練習が待ちかまえている。少しずつ慣れていき、今後の実生活で大いに役立てていければと思う。】
posted by ドスコイノブ at 09:00| Comment(2) | TrackBack(0) | トリトンとの日々