2010年11月26日

ステイ 後編

その部屋では病院職員が常時数名仕事をしており、静かに待つトリトンの姿をいつも温かく見守り、面会から戻る私達に、
「とってもおとなしく待っていましたよ!偉いですね」と様子を教えてくれたものです。
ある日、その部屋で、私のメールを受け取った職員と偶然会う機会があり、あらためて盲導犬の病棟内受入れのお願いをすることができました。
その結果、前向きに考えさせてもらうという嬉しい言葉をいただき、晴れ晴れした心で家路についたものです。
日を追うごとに、トリトンの姿は病院職員の心を少しずつ動かし、初めに会った時とは徐々に彼を見る目が違ってきていることを実感していました。
それとは逆に母の様態は急変し、手術後に現われるかもしれないと言われていた重い合併症に襲われ、入院からわずか2週間という短い間に旅立ってしまったのです。
結局、入院中、母にトリトンを会わせてあげたいという願いは叶えられず、トリトンに生きている母を見せてあげることもできませんでした。
しかし、母の死亡退院という悲しみの中にありながら、懸命な治療に当たってくださった医師、温かく見守ってくださった職員の皆さんに対し大きな感謝の気持ちをいだいたことも事実です。
それから約5ヶ月後のある日、病院から1通の嬉しいメールをもらいました。
そうです、トリトンが大仕事をやってくれたのです。
なんと、すべての病棟内において、盲導犬はもとより、身体障害者補助犬の受け入れ体制が整ったというではありませんか。
母は天国という遠いところに行ってしまいましたが、トリトンと共に組織を動かす大きなプレゼンとを残してくれたのです。
以下に、病院からいただいたメールを全文掲載します。但し、個人名は省かせていただき○○と表記します。
志賀さま
狭山病院ホームページ管理者の○○と申します。
本日より狭山総合クリニック、狭山腎クリニックとも補助犬同伴でお越しいただける体制が整いました。
準備に大変時間がかかってしまいましたが、志賀さまのご投稿をきっかけに院内で本格的に検討を重ね、本日を迎えました。
まだまだ院内職員、来院患者への補助犬に対する正しい理解は不十分ではありますが、啓蒙活動を続け、障害をお持ちの方にも安心してお越しいただけるような体制を整えてまいりたいと感じております。
この度はご意見ありがとうございました。
医療法人財団石心会 狭山病院
管理室 情報管理課 ○○○○
〒 350-××××     埼玉県狭山市鵜ノ木 ×-××
TEL 04-2953-××××(管理室直通)
FAX 04-2953-××××(管理室直通)
posted by ドスコイノブ at 09:00| Comment(2) | TrackBack(0) | トリトンとの日々
この記事へのコメント
トリトンとドスコイノブさんの強い思いが病院職員の盲導犬補助犬への知識を深めるきっかけとなったんですね。うれしいです。思ったらあきらめずにすぐ行動に移せるドスコイノブさんのバイタリティにも拍手ですね。
Posted by ブルックス at 2010年12月09日 23:32
ブルックスさん、コメントありがとうございます。
私にはバイタリティーなどありません。トリトンをいつも留守番させてしまったことがどうにも納得いかなかっただけです。でも、主人がいないところでも、ちゃんとおとなしく待つトリトンを見せることができて、それが補助犬受け入れに直接繋がったのだと確信しています。人と人のやり取りだけでは、そうはいかなかったと私は感じています。ですから、これはトリトンと亡くなった母の共同作業の何ものでもないのです。
Posted by ドスコイノブ at 2010年12月10日 15:14
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